都市とRomance

ワンネス

2013

渇いた部屋で幻ばかり見てしまう

 


電波を集める午前2時17分

耳鳴りだけのこの場所で

夜だけが長い

 


誰にも伝わることのないシグナルは

少しだけ迷ったあと

珈琲や、充電器や、スピーカー

温かい何かに付着して消える

 


夜だけが長いのに

その温もりは

加湿器の光がぼんやりしたあと

静かに消えていく

 


本当の悲しさを教えてあげる

 


理解したがるコンクリートを横目に

タクシーに乗り込んで走る首都高

夜だけが長い

 

メモリを消す

息ができる

高いビルのトップ

ひときわ明るい赤いライト

きみに会いたい

 

 

----

 

 

玄関先から見える景色を

ずっとみていたい

あたたかい手のひら

きみが巻くjoint

鳴らすJennifer

 

 

死ぬまで

正解

思えば正しかったことなんてないようにも思う

 

大切にするだなんて口先ばかりで

どうしたらいいのかなんてわからなかった

気持ちばかりが先走っていたあの頃に比べたら

きっとすこしわかりやすくなった?

触れる肌は正直だって、やっとわかる

 

不慣れなのはわたしの方で

集中しないと心なんてどこか遠く

誰もいないところで眠ってしまう

 

驚くほどピュアなI LOVE YOUに戸惑わないように

そんな言葉を今この瞬間に聞くのはまるで初めてかもしれないな、なんて思いながら

笑顔を作ったり

抱きしめたりをする

 

 

胸が痛い

 

 

慣れ親しんだ人付き合いの仕方しかできない

下心はいつものこと

ありがたく察して、ふるいにかける

(偉そうに)

 

私の友達は優秀だから

わたしのダメなところや良いところを

わたしより知っていて

叱ったり、認めたり、わたしのほしい言葉をくれたりする

 

私の上司は優秀すぎるから

私の未来を作る今を守って、叱って、導いて、私に託してくれる

プレッシャーに弱いことや

心がすこし人よりも弱いことも知った上で

期待していると言う

ありがたくて吐き気がする

痛くて痛くて胸がちぎれそう

 

 

今泣きそう

 

 

何度もしたくて

もいちど安心したくて

相性がいいね

おぼえている

どうして?

かわいいところをたくさん知ってる

どうして?落ち着くの?

 

どうして

たいせつになんてしてくれないくせに

手を離すのは私の方で

帰る場所がある人ばかり

 

どうして?

 

 

「あなたはさぞかしモテたでしょうけど、なんで前の旦那さんと結婚して、それでも私の父と一緒になろうだなんて思ったの」

「仕事は、楽しかった?あなたはさぞかし美人だから美容部員としていい勤めをしただろう。どうして転職したの?」

「いまのわたしと同じくらいの歳のときは、なにが楽しみだった?周りの友達はどうしてた?付き合っていた恋人がいたなら、そのひとをどうやって愛した?」

「私が生まれて、弟が生まれて、病気をして、いろいろあったけれど、ちゃんと幸せだった?幸せではないなんて言ってたけれど、本当は幸せだったんでしょう?」

 

 

吐き気がする

 

 

もっとたいせつのしかたをおしえてほしかった

 

miss u

歪んでた

 

手紙をあげた

それをあなたがスケジュール帳に優しく隠して

嬉しいと言った笑顔に嘘はないと信じてる

 

花火をした

二人きりでした時にはキスをして

こんなにせつない気持ちなのは初めてと思った

 

 

花火を見た

あなたの感度に惚れてる

風をよけて雨に濡れない不思議な人だった

 

 

まどろんだ優しい表情が好きだった

もちろんそんな人はたくさんいたのに

どうしてか初めてだと思った

滑るような同じ肌は

一生分のかなしさをふくんでいて

あなたのことはよくわかったと

知ったようなフリで

おしまいがとても近づいた

 

 

思い出すことはたくさんある

短い満開の桜の季節がきた

そんな感じだった

おひらきにしようなんて最後まで

まっすぐ向き合えなかった

 

 

届かないところにいって忘れ方も覚えたら

悲しいことなどもう一生分しってるから

もっと桜みたいで花火みたいでイルカみたいな

そのままうつくしいひとでいてほしい

 

 

 

長い睫毛にかかる影が映画の中みたいだとおもった

 

ブラインドから漏れる光をずっと眺めていたかった

 

彩度をあげると浮かぶわたしの肌と満月の夜はまっしろだった

 

はじめてくれた言葉は生涯なまっぽいまま

耳に残るあたたかい声をずっときいていたいな

 

 

(嘘だよ)

 

 

https://youtu.be/QKaGjtTeQQ0

 

 

Lovin' sleepy shawty

暮らしをするための生活と、豊かでいるための生活はまったくもって別物。

 

あたたかい部屋で眠れることがしあわせだと思える人は素敵だとおもうから、そうでありたい。

 

好きな観葉植物と、マーブル柄のアシュトレイ、ローベッドの足元にスタンドライトがあって、敢えて小さなテレビは部屋の端に追いやりたい。

 

 

落ちる陽が、ブラインドの隙間をくぐって切なくていつだか勤務していたテナントは西陽がよくさして、眩しかったことを思い出す。

懐かしさがないから痛みがない。

嫌味じゃなくて、とっくに痛みがない。

昨日のことのように覚えているのに感覚がない。

だからなにもこわくなくて、それだからもちろん痛みがない。

 

こわいものがないのも考えものである。

失うのがこわいから守っていけるはずだとおもう。

家族や親友や恋人や、仕事。

積み上げたキャリア、作り上げたイメージも、少し無理な付き合いをして得たコネクションも。

こわいものがないのは、まるで失うものがないようで露骨に嫌な顔をする横顔をながめる。

鏡の中だってフェイクだったら、自分なんてまぼろしみたい。

「すみません、もう少し自分がまともではないことを自覚します」

 

触れる肌がよく馴染み、めをとじたときにかかるまつげの影をあいしていた。

 

 

仕事に生活を殺されないようにユーモアを忘れないというのはまるで、仕事が悪者みたいになるけれど、そんなことはないとおもう。

そっちの世界とこっちの世界は、どちらもとんでもなく大切だと。

 

また陽が落ちて、めくったページにかげを落とす。既視感がある。思い出しているのに懐かしさがない。

 

はじめてのことみたいに、いつも驚いて、いつも悲しくて、いつもうんざりする。

 

春の風が強く吹く。

あっという間に椰子が揺れる季節がくる。

 

 

おねがいhoney、もう一度口説き直して。

 

もしくはshawty、気が強くないと気づいたならつまらない話はやめてくだらない話を飽きるまで聞かせて。

 

あの頃みたいに溶けて消えてしまいそうなjuly、想いを馳せまくってはフィルターを落とす。

雨の夜にフォーカスした玄関先からほど近くにうつる光をあいしてる。

 

 

 

 

 

4年ぶりの新居は日当たりがとてもよくて、洗濯物がよく乾く。

部屋が明るくてキラキラしていてやさしいきもちになれた。

本当は窓でもあけて休日午後ひなたぼっこしたいのだけど、今年もやってきた花粉症に悩まされてなかなか気が進まないので、バシバシ花粉症の薬を買うし飲む。

 

ていうか、ぜったいにおこらないから世の中に杉を植えまくった人と話したい。

まじでぜったいにおこらないから。

slow down bonita

「悲しいけれど終わりにしようキリがないから」

 

 

このセリフが一番悲しいから

どれほどキリがなくても終わりになんて出来ない

諦めること

終わりにすること

はじめること

全てに価値はあるけれど、そんなの後付けである

 

切なくてたまらないから

理由や意味を探して納得しては

胸がいたいよ

わたしはいつも聞いてないふりと

わからないふりばかりで

ため息ばかりで耳がいたいよ

 

キリがないけどやめないことばかりで安心できる

べらぼうに甘ったるい言葉や

きれいなことばで折り合いをつけようとして

それっぽいおさがり着ても

なんにも響かない

ちっともリアルじゃないのは誰だよ

 

 

----------

 

 

蛍光灯の光が優しくて目を閉じる

まぶたの裏にもまだ残ってる

あなたが残ってる

ずっと不器用な理由を探してる

あの夜みたいに満足させてくれる?

 

見つからないまま

上手に描けないあの写真の景色を

めをとじて眺めて

ああ

このままとけてきえちゃいたい

 

海の匂いと光る赤いライトと

オレンジ色はまるで

ああ

これ以上はもう言えない

会えない

見つからない

たぶんもうずっとわからないふりをしてる

 

 

風邪治ったかと思えばインフルエンザになるし

あ!

それこそ!

終わりにしようキリがないから

 

 

免疫力!

花火

線香花火みたいな音と周りを巻き込む香りが好きで、思い出す冬。

想いを馳せてるのは、過去じゃなくて君に。

 

きこえる?どこでも?そこからわたしが見える?

 

終わりを見据えたら怖くないなんて嘘だ。

悟りをひらけば、傷つく準備をしていれば、悲しくないなんて嘘だ。

苦手なものは苦手なままで、きらいなものはいつになってもきらいなままだ。

 

愛してるは軽々しくていいからいくらだって欲しいと言った。

口ずさむのはお揃いのメロディー。

口癖に手癖にまなざしに虜だった。

いつのまにか終わった17歳。

会えなくなってから10年、あなたはくたびれるほどつまらない男になっていて、私はもう子供にもなりきれなくて、噛み合わない時間を身を寄せ合いながら埋める。

 

たまに来る通知。

「思い出すことがある、もっと大事にすればよかった」

いつもそうやってつまらないことを言うところが嫌いだった。

 

きらいなものはいつまでたってもきらいなままだ。

 

あと、クリスマスの思い出だけれどずっと仕事だったから大人になってからは特になくて。

あの頃、枕元に置いてあったプレゼントよりも、私の髪を撫でて頬にキスしてくれる母がいたらそれでよかった。

 

過去じゃなくて、夢じゃなくて、君に。

 

late night lady

記憶だけ抱いていけるから、忘れ物をしたならとりにおいで。

悲しい顔なんてしないで。

目線を合わせるのは苦手だけど努力して、がんばって、話すから。

 

白いシーツにくるまるとまるで透明になった気待ちになる。

切なくなるのが好きなんだろう。

知らない腕に抱かれて、沈む指の形をなぞって、あなたのことを思い出す。

 

優しくないiPhoneをそっと閉じて、カメラロールじゃなくて、ぬるくなった記憶を遡る。

見つける笑顔。

嘘はないと言って。

 

死んでしまうくらいに胸が痛い。

babyなんて言わないで。

動き出さないで。

 

ねえ本当はなにがほしいのか言ってみて。

与えられるならなんだって。

テディベアの大きなぬいぐるみ?

それともなに、地位とか権力とか?

 

記憶だけ抱いてどこまでもいける。

忘れないで。

見くびらないで。

嘘ならいらないの。

ていうかもううんざり。

どっかいって。